自分の意見や考え方を”はっきりと伝える”ことはとても難しいことです。主張しなければいけない場面でしなかったり、してはいけない場面でしてしまったり、ということはあなたにも経験があると思います。
これはこの記事で1番のポイントなのですが、やり方を工夫すればいつでも自己主張して良い、とは限らないことです。
今回は小手先のテクニックではなく、なぜ自己主張が許される(許されない)のか、更にそれが許されるようにするにはどうすれば良いのかについて書いていきます。
なぜ自己主張は嫌われるのか
自己主張するときに重要なのが、言動の許容範囲を見極めることです。人にはそれぞれ言動の許容範囲というものが有り、この範囲は状況や場面によって変動します。
例えば家族や友達とタメぐちで話すのは普通ですが、学校の先生や会社の上司に対してタメぐちで話すと怒られてしまいますよね。恋人の痴話喧嘩などで「察してよ!」とか「気づいてよ!」なんてセリフもよく見かけます。
これらの問題が起きるのは言動が許容の範囲外だからです。主張というのは弱すぎても強すぎてもいけないのです。
上の例で言うと、先生や上司とはそれほど親しくないのでタメぐちは強すぎますし、本当に気づいて欲しいなら言葉にするべきだったので弱すぎた、ということです。 この範囲から出てしまうと怒られたり、避けられたり、見下されたり、会社であれば昇給・昇進を逃したり、商談が破談になるなどの罰を受けます。
ここで重要なのが、上でも書いた通りこの範囲は変動するということです。ではこの範囲を決める要因は何でしょうか。
許容範囲は何によって決まるのか
それはその人が持っている力です。力とは、選択肢だったりお金だったり。新しいグループに入ったときや新しい土地や国に来た時は力はありませんし、時には上司と部下、鬼嫁と夫など色々な状況で力は生まれます。当然ですが、力を持っていれば許容範囲は広くなります。
問題は、力を持っていない場合です。範囲が狭くなると「ローパワー・ダブルバインド」というものが起きます。黙っていれば目立たず、何か発言すると罰せられるという状況です。
このローパワー・ダブルバインドは相手との力の差が大きいと発生し、言動の許容範囲は極めて狭くなってしまいます。
ローパワー・ダブルバインドが起きていたり、許容の範囲外のときに、”上手な自己主張のやり方”を使っても意味はありません。いくら小手先のテクニックを使おうと罰せられます。
大切なのは自分の力を大きくし、範囲を広くすることです。なので、範囲を広くするための方法を紹介していきます。
母熊効果
女性は控えめで、自分の意見を上手く伝えることが苦手な方が多いです。もちろん、それは必ずしも悪いというわけではありませんが、時には欠点にもなります。
そういった女性でも、ある状況下では強く主張できることがわかっています。それは、他人のために発言するときです。他人のために発言する時、女性は言動の範囲を把握するだけでなく、その範囲を広げることができるのです。
これを母熊効果と呼びます。
相手の視点を取得すること
自分のために発言する時は、相手の視点に立ち、相手が本当に望んでいるものは何かを考えます。そして、相手の望むことと自分の主張を結びつけることで許容範囲を広げることができます。相手の視点に立つことで、自己主張ができる上に印象が悪くなることも避けることができます。
他人にアドバイスを求める
聞き手の中に味方や支持者がいることも大切です。味方を作る方法は2つあり、1つは母熊効果を利用することで、もう1つは他人にアドバイスを求めることです。
その道の専門家や知識が豊富な人に相談することで、強力な仲間を得ることも可能です。この方法の利点は相手を立てることができ、かつ自己PRもできることです。
ローパワー・ダブルバインドが起きている時に自分の功績を知ってもらうのは難しいことですが、この方法であれば相手に疎まれずに自分の功績を認知してもらえます。
得意なことについて話す
得意なことや好きなことがあれば、そのことについて話すのも良いです。専門的な知識があれば信頼を得ることも簡単で、少ない証拠で相手を納得させることができます。
そのことについて、情熱を持って話せば相手にもそれが伝わります。好きなことを話している時は自信が溢れ発言しやすくなるだけでなく、相手も発言に対し寛容になります。例え専門性が高くなくても情熱を持って話せば有効なのです。
よく女性の涙は卑怯だ、と言われますが例外が有ります。それは、強い情熱を持って話しているときです。女性、男性問わず、この時の涙は非難されないことが分かっています。
最後に
日本で自己主張することは避けられがちですが、上手に使うことで人間関係を円滑にすすめることができます。
参考 ADAM GALINSKY:はっきり主張できるようになるには(TED)
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